陶磁郎 43号[2005年7月16日発売]
特集◆陶芸家誕生  陶芸家が誕生する。それは一体、何を意味するのだろうか。ただ一つのことだけは、いえそうである。やきものという作品をつくり、それを売って食べている人のこと。人は、どのようにして陶芸家になっていくのか。
隠崎隆一[かくれざきりゅういち]
 考えが古いのかもしれないけど、僕は最初から、やるなら10年辛抱しようと思っていたんですね。やきものは、それだけ技術と知識の蓄積を必要とする、特殊な仕事じゃないですか。
 当時も、5年前後で独立する人が多かったです。景気がよかったし、5年先に始めた人たちは、商売のルートがもうできている。でも同時に、ある意味ですでに手枷足枷を背負っていた。僕は、家族はもうありましたが、それ以外のしがらみは何もない。それは困難であると同時に、非常に身軽なことでもありました。そのため、やみくもに自分の技術と感性を確認するという作業に、専念できた。
 デビューするときは、5年前に独立した人より、1ミリでも前に出なくてはならないと、自分に課していました。前に出られることがあるとすれば、それは、作品の売り上げではなく、自分自身の作品性としての内容でしかない。そうでないと、5年やった意味がない。
鈴木藏[すずきおさむ]
 きっかけは、親父の助手としてテストでつくったある志野釉です。商品化はされましたが、当時は志野の食器はあまり人気がなかった。それを見て、「何でこれだけ魅力のあるものが、売れんのだろうかなあ」と、本当に不思議で……。いまでは考えにくいことですが、一部の愛好家をのぞいて、当時は志野の知名度は低かったのです。
 そんなわけで、「それなら、オレがこれを使ってやろうか」と思ったのが始まりでした。どうせ志野なら、いままでなかった自分なりのものをという、気持ちだけは強かったですね。
陶磁郎 43号 紙面1 陶磁郎 43号 紙面2 陶磁郎 43号 紙面3 陶磁郎 43号 紙面4 陶磁郎 43号 紙面5
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