
形は、依頼主が予想していたものとはかなり違っていた。一般にアルミ製のワインクーラーといえば、バケツのような台形を逆さにした形に、両脇にリング状のもち手がある。しかし、焼き上がったものにはそのもち手がなく、托鉢(たくはつ)の鉢のような口縁部がやや内側に入った形となっている。 |

電話を受けた加藤も即座に、その土地の土を使った茶碗でなければ意味がないだろう、と思ったという。
そこで急遽、5月の終わり、あと二、三日で田植えが始まるという日に、加藤は越後妻有の地に足を踏み入れた。越後妻有の雰囲気を知り、土を探すためである。棚田と河岸段丘が拡がるこの土地を見て、激しい形よりは、おだやかな形の茶碗がよさそうだと判断したのだった。 |